イベント主催者の苦渋の決断とは。
提供:at Will Work
新型コロナウイルスの猛威は、イベントを主催・運営する企業に大きな打撃を与えている。
数百万円規模のイベントから、数億円の予算がかけられる大規模なものまで、現場は「決行か、中止か」の判断に迫られている。イベント担当者の切実な思いを取材した。
戦時中のような「マスク要請」
「皆さまにお願いがあります。ご自宅にある『マスク』を1枚でもいいので、分けていただきたいのです。もちろん、ご家庭のものを十分確保いただいた上で構いません、どうかご協力を……」
都内のIT企業でイベント統括を務めるカワニシさん(仮名)は、2月下旬に予定されていた、参加者200名規模のイベントの実施を決めた。上記の悲痛なメール文は、イベントに使うマスクを調達するために社員の助けを求めたもの。
結局、100枚以上のマスクが集まったという。
写真:取材協力者
「まるで戦時中みたいだなということはわかっています。でも会社には20枚くらいしか予備のマスクがなく……。やむを得ない判断でした」
「中止か決行か、はたまた延期か」の本格的な議論が始まったのは2月初め。チケット販売とスポンサーからの協賛金もあり、中止を決めれば数百万円の損失は免れない。
延期も検討したが、いつまでこの自粛ムードが続くかわからない。東京都は2月21日に、都が主催の500人以上のイベントを3週間中止の方針を発表したが、その規模の人数が集まるわけでもない。
「いつなら問題なく実施できるという目処も立っていないので、どんな形であれやろうと。今しか出すタイミングのないコンテンツを用意していましたし……」(カワニシさん)
開催にあたり、アルコールとマスクの予備や手袋なども用意。4社ほど手配していたフードブースは全て取りやめ、参加型のワークショップも中止した。来たくても来られない参加者のために、動画配信の準備にも追われた。スポンサー数社からの辞退もあり、売り上げは数割減ってしまった。
一番不安だった点を聞くと、疲れた顔でこう語った。
「リスクを下げようと思うと全部が気になってくる。スタッフでペンを使い回すのもやめたほうがいいのかとか、ペットボトルの提供はアリなのか、とか……。でも感染経路がわからない以上、“絶対”はないんですよね」
1年間、準備したイベントを中止に
Sansanは、運営費数億円・来場者1万人規模のイベントを直前に中止した。
撮影:伊藤有
「運営メンバーに中止を伝える時に、自分でもビックリするくらい、泣きそうになっちゃって……。全然大丈夫だと思っていたけど、あ、大丈夫じゃなかったんだ、って」
クラウド名刺管理のSansanは、約1万人の来場を予定していた大規模カンファレンス「Sansan Innovation Project 2020」の中止を2月18日に決めた。運営を統括していたマーケティング部の松尾佳亮さんは、1年かけてこのイベントを準備してきたという。
風向きが大きく変わったのは、2月14日と15日の週末だ。都内でも続々と感染者が確認され、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」でも新たに数十人が感染したと報じられた。「この時期になぜ開催したのかと、問われた時に説明のしようがなかった」(松尾さん)。
イベントの運営費は数億円規模だったものの、会場のキャンセル料がかからなかったこと、早期に中止の判断をしたことが功を奏し、大きな金銭的な損失は免れたという。一緒に企画を練り上げてきた、150名を越える登壇者への連絡が何よりつらかった —— 。松尾さんは唇をかむ。
「えっ、本当に無観客なの?」
一方「オンライン配信」という新しいやり方で、イベントを中止せずに乗り切った団体もある。
働き方が選択できる社会を提唱する一般社団法人at Will Workは、2月20日に虎ノ門ヒルズで開催した200人規模のカンファレンスを、オンライン配信のみで実施した。
無観客に切り替えることを決めたのは、イベント当日の2日前だ。運営を委託していた会社が配信も請け負うことができたため追加費用は機材費などわずかですんだが、やはり現場に戸惑いはあったという。
観客が誰もいないのに、運営スタッフは拍手をすべきなのか。ザワザワしていた方がいいのか……。「えっ、本当に無観客なの?」と登壇者からも驚きの声が上がったという。 「ある程度“人がいる”感があったほうが、登壇者はやりやすかったみたいですね」とat Will Work 代表理事の藤本あゆみさんは、苦笑しつつ振り返る。
「無観客・オンライン配信のみ」のイベントの様子。座っているのは運営スタッフ。
提供:at Will Work
結局、オンライン配信は常時110人ほどが接続し、16社入っていたスポンサー企業も1社も降りずに実施することができたという。ライブ配信の間に多めにCMを挟み、ノベルティや資料は参加者に郵送で送ることで対応した。
「リモートワークと同じように、イベントもどこにいてもできる」 —— 藤本さんは、この件を通して無観客イベントへの手応えを感じたという。
それぞれの決断を迫られているイベント担当者たち。中止を決めても、多くの場合補償金が出ることはなく、「泣き寝入り」の主催者も多いのが現状だ。
イベントが中止になってしまったSansanの松尾さんは、こう語る。
「なにが正解なのか、明確に答えられる人は今誰もいないと思う。でも起こってしまったことは仕方がないので、他の手段でなにができるのかと考えることが重要だと思います」
「(中止が決まってから)本当につらかったねと、多くの人から同情のコメントをもらいました。ただそれよりは、次も頑張れと、前向きな励ましを送ってほしいですね」
(文・西山里緒)
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February 28, 2020 at 09:00AM
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