いわき市のいわき湯本温泉郷で、少人数単位で観光客を呼び込む食べ歩きイベントが２７日からスタートする。新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、政府の「新しい生活様式」に合わせた新たな観光誘客のモデルとしたい考えだ。まちづくり団体や旅館、商店などがスクラムを組み、外出自粛などで冷え込んでしまった観光ニーズの掘り起こしを図る。
「例年ゴールデンウイークは家族連れでにぎわいを見せていたが、今年は街に人がいなかった」。雨情の宿新つたの若松佐代子女将（おかみ）（６２）の言葉に寂しさがにじむ。いわき湯本温泉旅館協同組合によると、感染拡大による外出自粛などの影響で、加盟２１旅館の４月の宿泊者数は前年同月比で約１５％まで減少した。
観光客減少の影響は、旅館だけではなく飲食業など幅広い分野に及んだ。そこでまちづくり団体「じょうばん街工房２１」のメンバーを中心に知恵を絞り、これまで過去２回実施してきたウオーキングイベント「湯本温泉街はいい湯だな！いわき湯本温泉歩き愛（め）です！」を「３密」を避ける形で開催するアイデアが生まれた。
従来は、歩数計を着けた参加者に決められたルートを歩いてもらっていた。クイズに正解すると歩数にボーナスポイントを加算して、点数に応じて景品をプレゼントした。コースの所々には、人が集まりにぎわいを見せていた。
今回は、イベントの受付時間を１日６回に分け、コースを自由とすることで密集を避ける。１歩を１ポイントと計算し、クイズの代わりに、湯本の観光名所や購入したテークアウト商品の写真、医療関係者ら新型コロナに対応している人への応援メッセージを会員制交流サイトに投稿すると、追加ポイントがもらえるようにした。
感染のリスクを下げながら運動不足を解消してもらい、湯本の情報発信にも協力してもらおうとする「一石二鳥」の作戦だ。計１万ポイントを達成すると、フラのまちオリジナル手ぬぐいや温泉施設８店舗で使える日帰り入浴券と交換できる。８月３０日までの期間中、約７００人の集客を目指す。
新しい生活様式に合わせた初のイベントに、若松女将は「人の温かさを求めてくるお客さまに、距離を保ちながらおもてなしをするのは難しいが、笑顔で迎えたい」と語る。
同団体の猪狩謙二会長（５７）は２２日、イベント概要を発表し、「散策をしながらいろいろな店に寄って、五感で湯本の良さを感じてほしい」と願いを込めた。
毎週火、木、土、日曜日に開催する。スタート時刻は午前１０時から。事前予約制。参加費は１人３００円。問い合わせはいわき商工会議所常磐支所（電話０２４６・４３・２７５７）へ。
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June 23, 2020 at 08:06AM
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食べ歩き「３密回避」 いわき湯本温泉郷、27日からイベント - 福島民友
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